My Book 14 , No.1   Jan. 1 , 2021


 緊急事態宣言発出の要請を受け、報道陣に対応する西村康稔経済再生相(中央)と(左から)大野元裕埼玉県知事、森田健作千葉県知事、1人おいて小池百合子東京都知事、黒岩祐治神奈川県知事=1月2日午後

          年始にかけて大雪に厳重警戒 冬型の気圧配置強まる

© KYODONEWS 道路に雪が積もり始め、「凍結注意」の電光掲示が点灯された新潟市内の幹線道路=30日午後6時44分 

 

 日本付近は元日にかけて強い冬型の気圧配置となり、北日本から西日本の日本海側を中心に大荒れの天気や大雪となる見込みだ。気象庁は30日、大雪や暴風雪による車の立ち往生などの交通障害や建物被害、暴風、高波に厳重な警戒を呼び掛けた。特に中国地方を中心に31日昼前にかけて急に雪が強まる恐れがある。

 空の便も混乱が続く見通しだ。30日は日航や全日空が150便以上を欠航とし、31日も100便以上の欠航を決めた。

 東北新幹線は、パンタグラフが下りるトラブルが相次ぎ、運転の一時見合わせなどで4本が最大で約50分遅れ、計約1300人に影響が出た。着雪の重みが原因とみられる。


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今年9月にオープン20年を迎えたラミのシェフ土井平八さん=神戸市中央区三宮町3(撮影・斎藤雅志)
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今年9月にオープン20年を迎えたラミのシェフ土井平八さん=神戸市中央区三宮町3(撮影・斎藤雅志)
カニクリームコロッケ
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カニクリームコロッケ
オムライス
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オムライス

 1868年の開港を機に洋食文化が花開いたミナト神戸。中でも70(明治3)年に居留地にオープンした旧オリエンタルホテルの洋食は、フランス料理を起源に独自の進化を遂げ、国内外で高く評価された。その味を受け継ぐ洋食店は今日の神戸にも残り、同ホテル出身の土井平八さん(78)が腕を振るう「L’Ami(ラミ)」(神戸市中央区三宮町3)もその一つ。行列必至の人気店として人々を魅了している。

 グルメ雑誌「ミーツ・リージョナル」元編集長の江弘毅(こうひろき)さん(62)によると、オリエンタルホテルは創業当初から料理に定評があり、その礎は、日本初の西洋式ホテル「築地ホテル館」や「横浜グランドホテル」の初代料理長でフランス人のルイ・ベギューが築いた。日本で「フランス料理の父」と称され、神戸に来た後の87(明治20)年にオリエンタルの社主となった。

 ベギューがいた当時、同ホテルに宿泊した英国のノーベル賞作家ラドヤード・キプリングも旅行記で料理を絶賛。ベギューに学んだ日本人コックも次々と育ち、同ホテルは阪神・淡路大震災で全壊するまで神戸の洋食界を代表し続けた。

 一方、ラミは2000年、三宮神社近くにオープン。もったりとした濃厚なクリームが詰まった香住産かにのクリームコロッケや、オムライス、エビフライなどの定番が手頃な価格で食べられる。

 土井さんは高校卒業後、日本初の調理師専門学校「辻学園日本調理師学校」(当時)へ。18歳の夏に「舞子ビラ」(同市垂水区)のレストランでアルバイトをし、そこの調理チーフだった元町の老舗「伊藤グリル」(同市中央区)の2代目、伊藤禄夫さんに刺激を受けた。

 ホテルのシェフになろうと決めた土井さんは、オリエンタルホテルに入社。家庭の事情で退職するまでの5、6年間で野菜場や煮込み場を経験し、名だたる先輩たちから技術を盗んだ。

 シチューやカレーの基本は「オリエンタルのレシピを受け継いだ」という。カレーの仕込みは、タマネギ10キロを弱火で2時間、半分の重さになるまで炒める。それをミキサーにかけ、カレーのペーストに使う。

 同ホテルのカレーはこのペーストに、スライスして素揚げし、乾燥させたタマネギも加えた。2種類のタマネギを使うため「ダブルオニオン」と言われ、主に野菜場の新人が仕込みを担った。土井さんは「ちょっと焦げるだけで苦くなる。こつをつかむのに時間がかかった」と振り返る。

 洋食は「仕込みが全て」が信条だ。毎日午前8時から、ソース類やフライの下ごしらえを始める。同11時の開店後3時間半余りで、平均130食のランチをさばく。土日は150食に上り、カウンター席が10回転する日も。ラミのファンを公言する江さんは「オリエンタルの血を引く味だけでなく、仕込みとスタッフの手際も超一流」とうなる。

 店は今年9月に20年を迎えた。土井さんは「洋食はフレンチやイタリアンのような華やかさはなく、手間暇がかかる。でも、自分で仕込みができるうちは味を守りたい」と話す。ラミTEL078・327・7225

(竹本拓也)

神戸の夜景

わが家のベランダから西の方角を眺めた夜景